成年後見制度 PR

老後の安心プラン 任意後見契約と委任契約について

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

前回は、任意後見制度の概要や効力発生時期などについて解説しました。

今回は、引き続き,任意後見制度について説明します。

本記事では,老後の安心プランとして任意後見契約と委任契約の両方を締結することをおすすめします。

 

受任者(任意後見人)の基本的な仕事の中身 (任意後見法2条参照)について

本人の財産管理をする

自宅などの不動産や預貯金等の管理,年金の管理,税金や公共料金の支払いなどをする。

 

介護や生活面の手配をする

要介護認定の申請等に関する手続,介護サービス提供機関との介護サービス提供契約の締結,介護費用の支払い,医療契約の締結,入院費用の支払い,生活費の届出や送金をすること,老人ホームへ入居する場合の入居契約等の締結などをする。

 

契約の内容は,自由に決められますか?

任意後見契約は契約ですから,法律の趣旨に反しない限り,当事者双方(委任者と受任者)の合意により,自由にその内容を決めることができます。

これは,民法上の大原則である契約自由の原則によるものです(民法90条,91条参照)。

 

受任者(任意後見人)を選ぶときに注意したいこと

受任者(任意後見人)は,身内の者でもなれますか?

成人であれば,誰でも委任者の信頼できる人を受任者(任意後見人)にすることができます。

例えば,家族や親戚等身内の者や友人になってもらうことができます。

ただし,任意後見法によって,ふさわしくないと定めている者(例えば,破産者や金銭的にルーズな者など)は,受任者(任意後見人)になることはできません(任意後見法4条第1項参照)。

もとより,弁護士,司法書士,社会福祉士等の専門家や法人(社会福祉法人,リーガルサポートセンターなど)に,受任者(任意後見人)になってもらうことができます。

受任者に大切な預貯金を使い込まれる恐れはありませんか?

受任者(任意後見人)は,元来,委任者(本人)自身が,最も信頼できる者として選んだ人です。

契約に際しては,真に信頼できる者であるかどうか(金銭的にルーズな者など預貯金を使い込まれるおそれのある者でないかどうか),よく吟味して選ぶことが大切です。

また,任意後見契約においては,家庭裁判所によって選任された任意後見監督人が,受任者(任意後見人)の仕事が適正に行われているかどうか定期的に監督する仕組みになっている(任意後見法7条)ので,このことも受任者(任意後見人)の不正行為防止策の一つになっています。

 

受任者(任意後見人)は,一人でないといけないですか?

受任者(任意後見人)は複数でもかまいません。

ただし,複数の場合は,各自が受任者(任意後見人)として権限を行使できるとするか,共同してのみその権限を行使できるとするか,どちらかに決めておく必要がありますので,注意を要します。

 

受任者(任意後見人)は,いつから仕事を始めることができますか?

任意後見契約は,委任者(本人)の判断能力が衰えた場合に備えて,事前に契約を締結するものですから,委任者(本人)の判断能力が衰えた状態になってから,受任者(任意後見人)の仕事がスタートします。

具体的には,任意後見契約締結後,委任者(本人)が精神上の障害により判断能力が不十分な状況になり,受任者(任意後見人)が同契約による後見事務を行うことを相当と認めて家庭裁判所に対し「任意後見監督人(にんいこうけんかんとくにん)」の選任請求をし,同裁判所で「任意後見監督人」が選任されたときから,受任者(任意後見人)の仕事が開始されます(任意後見法2条,4条)。

 

任意後見契約の登記について

すでに,成年後見登記制度のところでも説明しましたが,任意後見契約の公正証書が作成されたときは,公証人の嘱託(依頼)を受けて,東京法務局の後見登録課において,任意後見契約の内容(委任者(本人)や受任者(任意後見人)の氏名,代理権の範囲など)が登記されます(後見登記等に関する法律5条)。

この登記により,受任者(任意後見人)は,法務局から登記事項証明書の交付を受けて,自己に代理権のあることを証明するなどして,委任者(本人)のために,その事務処理を円滑に行うことができます。

 

通常の「委任契約(いにんけいやく)」について

お客様からこういった問い合わせがありました。

「判断能力は低下していない」が,年を取って足腰が不自由になるなど身体機能が衰えて,何事をするにも不自由を感じるようになった場合に備えて,あらかじめ自分に代わって財産管理などをしてもらいたいけど,これも,「任意後見契約」により行うことができるかどうか教えてください。

このご質問に関しては以下のように説明いたします。

任意後見契約は,判断能力が低下した場合に備えた契約なので,上記ご質問の場合は,本来の「任意後見契約」によることはできず,通常の「委任契約(いにんけいやく)」を併せて締結することにより対処します。

判断能力がしっかりしていても,寝たきりになってしまうと自分の預貯金であっても,お金をおろすこともできません。

このような事態に対処するためには,判断能力が衰えた場合にのみ発動される「任意後見契約」だけでは不十分です。

そのため,実際は,「委任契約」と「任意後見契約」の両方を締結しておくんです。

そうすれば,「判断能力低下前と判断能力低下後のどちらの事態にも対応できる」ことになり安心です。

 

公証人当時,私は,この二つの契約を「老後のダブル安心プラン」と称して,任意後見契約にかかる相談者に対して,その趣旨を説明していました。

次回は、任意後見契約の利用形態について解説いたします。

任意後見契約の利用形態について解説します。任意後見契約の利用形態について、事例などを紹介し、解説します。後半では任意後見人への報酬、任意後見契約の途中解除について解説します。...