遺言 PR

そもそも遺言とは何か解説します 遺言について基本的なこと

遺言について基本編その1と書いてあります。お爺さんのイラストが入っています。
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

そもそも遺言とは何か?

よくわからないという方も、いらっしゃると思います。

そういったことから、遺言のことをもう少し知ってもらうため,今回から遺言についての基本的なことを4回にわたって解説していきます。

遺言の読み方

いごん又はゆいごんと言いいますが,どちらの言い方をしてもかまいません。法律用語としては「いごん」と言いますが,日本古来の言い方で源氏物語に出てくるといわれている「ゆいごん」と言う方が皆さん方には馴染みがありそうですね。

 

遺言の効力発生時期について

遺言は,遺言者の死亡の時からその効力を生じます(民法985条第1項)が,遺言は,「遺言をした時」から効力を生じると勘違いしている人が意外に多くいるんです。

私が公証人をしていた時に公正証書遺言を作成する場面においても,遺言者から「遺言をすると自分の預貯金が使えなくなるから困る。申し訳ないけど今日は遺言を作らない。もっと後になって作るから,しばらく待ってほしい」という申し入れを受けて遺言の作成を中断したことが,しばしばありました。

このような経験を通しても,皆さん方の中には遺言の効力発生時期を誤って解釈している人が多いことを痛感した次第です。

 

遺言の効果について

これまでの説明に基づき整理すると次のとおりになります。

① 遺産分割協議が不要

遺言があれば,原則としてその内容が優先する(裁判所の判決と同等の効果があり,遺言書どおりに相続が行われる)ので,遺産分割協議をしないで財産(遺産)を承継することができる。

② 安心効果

「安心して死ねる」と思っている人が多いと思いますが,その効果はむしろ「安心して長生きする」ことができる。

③ 相続人全員の印鑑不要

遺言書だけで速やかに遺言の実行・実現ができる(相続人全員の合意文書や署名押印(実印)は不要!)。

(例)不動産については,遺言書により所有者の名義変更にかかる所有権移転登記ができ,預貯金については遺言書により,解約や払戻しができる。

④ 相続争い防止

相続をめぐる争いを防止することができる。

 

遺言の作成時期について

遺言は死ぬ間際に作ればよいと思っている人がいますが,遺言は元気なうちに(遺言がどういうものであるか判断できる能力がある(民法963条)早めに作ることをおすすめします。

これも,私が公証人の時の経験談ですが,「遺言者やその家族は,切羽つまらないと公証役場に来てくれない傾向にあるため,この段階で遺言者が公証役場に来た時は,すでに判断能力が極めて厳しい状況になっていることから,結果的には「遺言者に判断能力なし」ということで,公正証書遺言の作成をあきらめざるを得ないことになったケースが多々あったんです。

「そのうち,そのうちに」と思っていたら,遺言者が突然亡くなってしまうこともあります。

遺言者が元気なうちに早めに遺言書を作っておくのがよいと思います。